トークン化株式の市場規模が今後数年で1兆ドルを超える可能性があるという。ニューヨークで開催された「TokenizeThis」カンファレンスに登壇した業界幹部らが予測している。

トークン化株式は、現実世界資産（RWA）のトークン化の一種であり、トークンを通じて株式をブロックチェーン上で取引可能にする仕組みだ。STOKRのアルナブ・ナスカルCEOは、4月16日のパネルディスカッションで「正確な予測は難しいが、トークン化株式の市場は間違いなく兆ドル規模に成長するポテンシャルを持っている」と語った。

2025年に入り、この分野に対する機関投資家からの需要は爆発的に増加していると語るのは、ディナリの最高業務責任者（CBO）であるアナ・ヴロブレフスカ氏だ。Web3ウォレットやネオバンク、さらには従来型の金融サービス企業など、幅広い業種から関心が集まっているという。

「想像以上に多様なパートナーから、膨大な数の問い合わせが寄せられている。非常に興味深い動きだ」とヴロブレフスカ氏は述べた。

トークン化株式、今後数年で市場規模1兆ドル超へ＝業界関係者らが議論 image 0 ト―クン化株式はRWA市場の中でまだ割合は小さい  Source: RWA.xyz  

小さいながらも急成長中の市場

RWA.xyzのデータ によれば、2024年4月18日時点でトークン化株式の時価総額は約3億5000万ドルにとどまっている。これはRWA市場全体（180億ドル超）の中ではごく一部にすぎない。

しかしヴロブレフスカ氏は、今後トークン化株式が米国株式市場における存在感を高めていく可能性があると言う。 シブリス・リサーチ によれば、米株式市場全体の時価総額は50兆ドルを超えており、その中でトークン化が占める比率が拡大する余地は大きい。

「米国の上場株式に対する需要は非常に大きい。世界中の個人投資家が米国市場へのアクセスを望んでいる。トークン化によってそれが迅速かつ低コストで実現できる」とヴロブレフスカ氏は話す。

同様の理由から、トークン化された米国債もすでに高い需要を獲得しており、現在その市場規模は約60億ドルに達している。

一方、コインベースは自社株式のトークン化をイーサリアムのレイヤー2ネットワークのBase上で実施することを 検討している 。

ムーブメント・ラボで機関投資家向け事業を統括するコリン・バトラー氏は昨年、 コインテレグラフのインタビュー で、RWAのトークン化によるグローバル市場の潜在規模は30兆ドルに達する可能性があると述べている。

ヴロブレフスカ氏も、「ユーザー体験がより優れ、迅速かつ低コストであれば、人々は自然とトークン化資産に移行する。トークン化は既存市場の鏡になるだろう」とみる。

bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント！【PR】