実世界資産（RWA）市場が年初来の急成長で100億ドル突破

実世界資産（RWA）のトークン化セクターは21日、預かり資産（TVL）が100億ドル（約1兆4900億円）を 突破した。

DeFiLlamaの最新データによると、過去1週間のみで6.16％の成長を記録し、重要なマイルストーンを達成した。

RWAトークン化セクター急成長の要因

RWAトークン化の急速な成長には複数の要因が寄与している。まず、ブロックチェーン技術の採用拡大が挙げられる。技術への理解と受容が進み、より多くの投資家がこのセクターに引き寄せられると同時に、トークン化に必要なインフラストラクチャが整備されてきた。

また、分割所有権の概念も大きな牽引力となっている。RWAトークン化により、投資家は高価値資産の一部所有権を取得できるようになり、より多くの人々が以前はアクセス困難だった資産クラスへの参入が可能になった。

さらに、各国における規制の明確化も成長を後押ししている。様々な法域での規制枠組みの整備が、 暗号資産（仮想通貨） 技術に明確さと安定性を提供し、投資家の信頼を高めている。

成長を主導しているのは、メーカーRWA、ブラックロックBUIDL、イーシーナUSDtbなど、それぞれが10億ドル（約1490億円）以上のTVLを達成した 分散型金融（DeFi） 分野の主要プロジェクトだ。

米国債裏付けトークンが成長を牽引

特に米国債を裏付けとするトークンは著しい成長を見せており、2025年第1四半期には42億ドル（約6258億円）に達した。

オンドファイナンス、ブラックロック、フランクリン・テンプルトンなどが提供する商品は、原資産の安全性と安定したリターンから投資家の強い関心を集めている。

市場の拡大に伴い、トークン化された米国債や ステーブルコイン などの安定した仮想通貨資産への需要も高まっている。これは市場の変動性の中で、安全かつ利回りを生み出す資産に対する投資家の選好を反映したものだ。

RWA市場の課題と将来展望

急成長にもかかわらず、RWA市場は依然として流動性の障壁、分断されたエコシステム、規制の不確実性などの課題に直面している。

長期的展望として、RWAトークン化市場は成長を続け、2034年までに最大30兆1000億ドル（約4480兆4900億円）に達するとの予測もある。

DeFiエコシステムとの統合深化、AI技術の進歩、そして機関投資家の参加増加が、今後の成長を牽引する主要因になると見られている。

実世界資産のデジタル化という新たな潮流は、伝統的な金融と仮想通貨技術の融合を示す重要な指標となっており、ブロックチェーン技術の実用的応用として今後も注目される分野だ。