マイケル・バー氏、仮想通貨と銀行監督への批判を受けFRB副議長を辞任へ

マイケル・バーFRB副議長が辞任の意向

FRB （米連邦準備制度理事会）の副議長であるマイケル・バー（Michael Barr）氏が、仮想通貨規制や銀行監督に関する批判を受け、副議長職を辞任する意向を表明した。この動きは、金融業界および仮想通貨コミュニティに波紋を広げている。

仮想通貨規制への厳格な姿勢

仮想通貨の急速な発展に対応するため、同副議長は規制強化を提唱してきたものの、そのアプローチが業界内外で議論を呼んでおり、特に革新的な技術を抑制する可能性があるとの批判が挙がっていた。

また、仮想通貨分野のプレーヤーからは、規制が市場の発展を妨げる可能性があるとの声も寄せられた。一部の専門家は、バー氏の姿勢が業界の健全な発展を妨害していると主張している。

銀行監督に関する批判

銀行監督においても重要な役割を担っていた同副議長だが、その手腕に対しても賛否両論があった。

銀行規制における過剰な厳格性が、金融機関の柔軟性を損なう可能性があるとの指摘があった一方で、金融システムの安定性を高めた功績を評価する声も存在する。同副議長氏の退任のタイミングは戦略的とされている。ドナルド・トランプ（Donald Trump）次期大統領が権力の座に復帰する今、特にFRB内で反対意見が容認されにくい状況が背景にある。同副議長は、監督担当副議長を退く一方で、FRB理事としての任期は2026年まで続ける予定だ。

トランプ氏とFRBの関係と金融政策への影響

トランプ氏とFRBの関係は複雑で、彼の最初の任期中には金利引き上げを巡る対立が絶えなかった。

トランプ氏は、 ジェローム・パウエル（Jerome Powell）議長 の解任を検討するなど、FRBに対する強い不満を表明していた。この背景から、現在もFRBの独立性が再び精査されている状況にある。

FRB内での変化の可能性

パウエル議長の任期は2026年に終了し、トランプ次期大統領はすでに同氏を解任しないと表明している。

同氏の理事の任期は2028年までだが、それまでにトランプ大統領はFRBの政策決定機関に足跡を残している可能性が高い。2026年1月、アドリアナ・クーグラー（Adriana Kugler）理事の任期が終了すると、再び空席が生じる。これらの変更はトランプ大統領にFRBを自分の方向に導く大きなチャンスを与えることになる。
トランプ氏はまた、金融政策の規制を緩和する姿勢を示しており、FRB内の構造変化が進むことが予想される。

仮想通貨と金融業界への影響とFRB内の議論への影響

この辞任により、FRB内での仮想通貨規制や銀行監督に関する議論に影響を与える可能性がある。

特に、後任者が規制の方向性をどのように変更するかが注目される。同副議長の辞任が報道されると、銀行株が上昇し、業界に一定の安心感を与えた。一方で、FRB内の仮想通貨政策がどのように変化するかについては不透明な部分が多い。

退任によって、FRBが現在進めている規制プロジェクトも凍結される。その鍵となるのが、銀行監督強化を目的とした物議を醸している規制である バーゼル最終案 だ。この規制の進展は、同副議長の後任が承認されるまで保留となっている。

同副議長の辞任に対して、仮想通貨コミュニティは歓迎する声を上げる一方で、FRB内での規制強化の流れが続く可能性を懸念しており、一部の専門家は、今回の辞任が業界全体の規制環境を見直す契機になると期待している。

仮想通貨規制の未来とFRBの課題

バー氏の辞任は、FRBと仮想通貨業界の関係性における重要な転機となる可能性がある。

特に、次期副議長がどのような姿勢を示すかによって、仮想通貨業界の発展に大きな影響を及ぼすだろう。金融システムの安定性と革新性を両立させるための議論が、今後さらに活発化することが予想される。業界関係者は引き続き、規制の動向を注視していく必要がある。